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コンチキ号探検記と私


先日、アキバに行って「DXの歴史」という本を読んできました。 そうしたら、1947年のハイエルダールによるコンチキ号の航海について 2ページばかり割かれていて、非常に興味深く、また懐かしかったのでそのお話をします。

これは、ポリネシア人の由来は南米からの航海移住によるという自説を証明すべく、 ノルウェー人の人類学者ハイエルダールと賛同者数人が手作りのいかだで、ペルーから ポリネシアまで海流に乗って航海したというもので、そこではアマチュア無線が大活躍 しています。私は中学校の図書館で、その航海の記録を書いた「コンチキ号探検記」を 読んでとても感動し、自分がアマチュア無線を志すきっかけになったと言っても過言では ありません。とてもユーモアにあふれた筆致で書かれたさわやかな読後感の本でした。 けれど、「DXの歴史」を読んで、これまで自分が思っていたことの裏に (自分にとっては)隠されていた事実がたくさん有ったことを知りました。

私は、筏にアマチュア無線局を積んだのは、乗り込んだ人類学者の中にたまたま ハムがいて、気軽に無線機を積み込んだだけだと思っていたのですが、実際には、 ARRLが後援して特別製の無線機を用意して、バックアップ局が何局も待機、 法制面でも、特別なコールサインや周波数を割り当てるなどの一大プロジェクト だったようです。ハイエルダールの著書ではそういうことに全くふれられていませんでした ので、実に意外でした。しかし、ハイエルダール自身は無線には素人であるし、 無線が探検記の主役ではないのでもっともかもしれません。

ハイエルダールも書いている点としては(今手元に本がないので、自分の記憶によれば)、 南米沖には電波のブラインドゾーンがあって、そこを抜け出すまでは遠距離(北米) との交信は難しい(ハイエルダールはこれを「アンデス山脈の陰」と書いている)。
海上での気象観測データをアメリカ気象局に送って感謝されたこと(あらかじめの計画が あったればこそだったんですね)。
ある時、いつも交信しているアメリカより遠くまで電波が届き、ノルウェーの局と 直接交信できた。これは、小電力による遠距離交信としてはちょっとした記録的な ものである(「懐中電灯程度の電力で一万キロの交信ができた」と書いている)と。
ポリネシアの環礁に漂着する際、無事に着岸できたか36時間以内に無線で 報告することになっていたが、無線機が水をかぶってすぐには運用できず、救援隊が 出動するぎりぎりになってようやく連絡がついたこと。

他には、写真の現像がうまくいかなかったのでカリフォルニアの写真会社に問い合わせて 成功する話や、ポリネシアの小島で現地人の子供を無線で医師の指示を仰いで病気から 救ったことなど、無線にまつわるスリリングなエピソードを南洋の美しい自然の描写や 人々との交流を取り混ぜて描き出し、読んでいてとても楽しく、いやでも無線と冒険への あこがれを持たざるをえませんでした。

このように、アマチュア無線の活躍するノンフィクション物語で邦訳も昔から永く出版され ているので、この本を読んだことがアマチュア無線を始めるきっかけになったり、 注目した人が私の他にもいるはずだとずっと思っていましたが、これまでアマチュア無線家で このハイエルダールの航海について語る人が一人もいなかったので、意外に思っていましたが 初めてそういう一文にふれることができました。

皆さんはこの物語をご存じだったでしょうか?

(2005.1.19記)

(より正確には「ハイエルダール」は「ヘイエルダール」で、「コンチキ号」は「コン・ティキ号」 であるようだが、私の癖で上記のように書いてしまう。)

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